こんにちは、BrummBoooファシリテーター、松岡直紀です。今回は、エンジンという“心臓”を長持ちさせるための大切なケア、つまりオイル交換について書いていきたいと思います。そもそも、エンジンオイル交換って必要なの?という意見もあるかと思います。そもそも自動車メーカーもノーメンテナンスで十分、というスタンスではなく、あくまでも交換サイクルが長くなってきているだけで、オイル交換が必要でないことはありません。ガソリンエンジンもハイブリッドエンジンも、どちらも一長一短があるものですが、エンジン自体が本当に“機械としての存在”である以上、適切なオイル交換がいかに重要かは言うまでもありません。今回は、エンジンオイルの規格や特性を踏まえながら、どのエンジンにはどのオイルがベストなのか、そしてBrummBooo Driving Societyが推している走行距離が6万キロを超えてくるクルマについてもどのようなオイル選びが望ましいのか、その理由についてじっくりと考察していきます。また、最近よく耳にするエンジンオイル添加剤についても、メリット・デメリットを検討しながらお話ししていきます。

オイルの基本仕様と規格について
まずは、エンジンオイルの選定に欠かせない基本情報からおさらいしましょう。エンジンオイルは、ただ単に「油」というだけでなく、エンジン内部の摩擦を低減し、温度管理や洗浄、金属表面の保護、さらには燃焼の効率向上といった多くの役割を担っています。そのため、各メーカーや規格機関が定めた仕様(スペック)が存在しており、代表的なものとしてはAPI(アメリカ石油協会)の規格、ACEA(欧州自動車工業会)の規格、ILSAC(国際自動車整備者連合会)の規格などがあります。
API規格では、例えばガソリンエンジン向けに「SN」や最新の「SP」などの分類があり、エンジン保護性能や燃費向上、排出ガス低減などが評価されています。ACEA規格は欧州車向けに策定され、エンジンの耐摩耗性や洗浄性能が重視される傾向にありますし、ILSAC規格は環境面や燃費性能にフォーカスした基準となっています。さらに、オイルの粘度(例:5W-30、10W-40など)もエンジンの運転温度や気候条件に合わせて最適な選択をするために大事な要素です。
つまり、エンジンオイルを選ぶ際には、これらの規格や粘度の数値をしっかりとチェックし、自分の車のエンジンタイプや使用状況に合ったオイルを選ぶ必要があります。これが「機械としてのエンジンに優しいオイル交換」への第一歩ですね。
ガソリンエンジン向けオイルの選び方
まずはガゾリンエンジンについてお話ししましょう。ガゾリンエンジンは、比較的高回転で動作することが多く、その分、エンジン内部の摩擦や熱が大きな問題となります。そこで、オイルには高い耐熱性と酸化防止性能が求められるわけです。現代のガゾリンエンジンでは、ほとんどの場合、API SN/SP規格に準拠した高品質なオイルが推奨されています。これらの規格は、低温でのエンジン始動性や高温での酸化抵抗性、さらにはエンジン内部のクリーニング性能まで幅広くカバーしているため、安心して使用できるのがポイントです。
また、ガソリンエンジンの場合、最近では全て合成オイルを使っているフルシンセティックオイルが主流になりつつあります。合成オイルは、従来の鉱物油に比べて分子構造が均一であるため、摩擦係数が低く、エンジンの摩耗を抑える効果が期待できます。特に、エンジンが高回転時に多くの熱や摩擦を受ける場合には、フルシンセティックオイルが非常に有効と言えるでしょう。
ただし、車種やエンジンの状態によっては、半合成油(セミシンセティック)もコストパフォーマンスの面から選ばれることがあります。エンジンが比較的新しく、かつ日常の走行条件が過酷でなければ、半合成でも十分な保護性能を発揮する場合があるのです。結局のところ、メーカー推奨のオイル仕様や、実際の走行環境を踏まえた上で最適なオイルを選ぶことが大切です。
ハイブリッドエンジンのオイル選び
次に、ハイブリッドエンジンについて見ていきましょう。ハイブリッド車は、エンジンとモーターが連携して動作するため、エンジンが常に一定の状態で稼働しているわけではありません。エンジンが頻繁にオンオフする特性から、温度変化や負荷のかかり方がガゾリンエンジンと異なり、オイルに対する要求も変わってきます。
ハイブリッドエンジンの場合、エンジンが低速走行や短時間の作動で頻繁に始動するため、低温時の流動性や、始動直後の潤滑性能が特に重要視されます。そのため、低粘度でありながら、始動時の摩擦低減に優れたオイルが推奨される傾向があります。具体的には、5W-30や0W-20などの低粘度オイルが一般的ですが、これも車種やメーカーの推奨仕様に合わせる必要があります。
また、ハイブリッドエンジンは、通常のガソリンエンジンに比べて運転時間が短い割に多くの始動を繰り返すため、オイルの劣化が早く進む可能性もあります。したがって、定期的なオイル交換が特に重要となり、メーカーが推奨する交換サイクルをしっかりと守ることが、エンジン寿命の延命に繋がります。普段の走行状況や気候条件に合わせたオイル選びと、こまめな点検が求められるわけです。
走行距離6万キロを超えた場合のオイル選び
さて、ここでBrummBooo的に触れておかなければならないのが、走行距離が6万キロを超えてくる車両のエンジンオイル選びです。一般的に、エンジンが長寿命になるにつれて、シール材の劣化や金属部分の摩耗が進行する可能性があるため、オイルに求められる保護性能も変化します。こうした高走行距離のエンジンには「ハイマイレージオイル」と呼ばれる専用の製品が登場しているのをご存知でしょうか?
ハイマイレージオイルは、通常のオイルに比べて以下のような特徴があります:
- シール保護成分の強化:長期間の使用で劣化しやすいゴムシールやバルブガイドなどを保護し、オイル漏れを防止するための添加剤が配合されています。
- 摩擦低減効果の向上:摩耗が進んだエンジン部品同士の摩擦をより効果的に抑えるため、摩擦低減剤が豊富に含まれています。
- 洗浄作用の強化:エンジン内部に堆積しやすいカーボンやスラッジを除去し、クリーンな状態を保つための分散剤が強化されています。
走行距離6万キロを超えると、これらの点が特に重要になってきます。エンジン内部の部品同士のすり減りが進むと、微細な隙間からオイルが漏れ出しやすくなり、結果として燃焼効率の低下やさらなる摩耗を引き起こすリスクがあります。そういった意味で、ハイマイレージオイルは「エンジンを守る最後の砦」とも言えます。
また、6万キロ以降はエンジンオイルの劣化が目に見えにくくなるため、オイルの粘度が低下してしまい、冷却性能や潤滑性能が低下する可能性もあります。こうした状況では、通常よりも少し粘度の高いオイルを選ぶことで、エンジン内部の潤滑状態を安定させる狙いがあります。もちろん、メーカーが推奨する粘度規格を無視するわけにはいきませんが、実際の運転環境やエンジンの状態を考慮すると、ハイマイレージ向けに調整されたオイルを選ぶことで、エンジンの寿命を延ばす一助となるでしょう。
エンジンオイル添加剤についての考察
ここまで、エンジンオイルそのものの選び方について詳しく述べてきましたが、最後に話題として挙がるのが「エンジンオイル添加剤」です。添加剤は、オイルそのものの性能をさらに引き出したり、特定の課題に対応するために配合される成分のことですが、その効果や必要性については意見が分かれるところです。
添加剤のメリット
- 摩擦低減効果の向上
添加剤の中には、摩擦をさらに低減する成分が含まれているものがあり、これによりエンジン内部の摩耗を抑える効果が期待できます。特に、エンジンが古くなって摩耗が進んできた場合、こうした効果は大きなプラスとなります。 - 洗浄・分散作用の強化
オイル内部に堆積しがちなスラッジやカーボンを分散させる作用を持つ添加剤は、エンジン内部をクリーンに保つ助けとなります。これにより、エンジンの燃焼効率が向上し、長期的なメンテナンスコストの低減にも寄与します。 - シール保護効果の向上
前述の通り、ハイマイレージエンジンではシールの劣化が問題となりやすいですが、特定の添加剤はゴム部品やシール材の柔軟性を保つ働きがあるため、漏れのリスクを軽減する効果も期待できます。
添加剤のデメリットと注意点
- 過剰添加によるバランス崩壊
市販されている高品質なエンジンオイルは、すでに最適なバランスで各種添加剤が配合されています。もし、さらに別途添加剤を追加すると、本来のバランスが崩れ、かえってオイルの性能低下を招く恐れがあります。メーカーが推奨する使用量を超えた添加剤の使用は、むしろエンジンに悪影響を与えるリスクがあるため、注意が必要です。 - 相性の問題
全てのエンジンやオイルが、追加の添加剤に対応できるわけではありません。特に、古いエンジンや特定の設計に基づくオイルの場合、添加剤との相性が悪くなるケースも存在します。こういった場合、むやみに添加剤を使うよりも、まずはメーカー推奨のオイルに切り替える方が賢明な選択と言えるでしょう。 - コストパフォーマンスの問題
添加剤自体は確かに効果を発揮する場合がありますが、その効果とコストとのバランスも考慮しなければなりません。基本的に、良質なエンジンオイルにはすでに必要な添加剤が組み込まれており、追加投資をしても大きな効果を得られない場合が多いという現実もあります。
結論として、添加剤はあくまで「補助的な役割」を果たすものとして捉え、エンジンや走行環境、さらにはオイル自体の品質とのバランスをしっかりと見極めることが重要です。特に、エンジンが高走行距離になっている場合は、まずは小まめにエンジンオイルを交換すること、次に、ハイマイレージ向けの高品質なオイルに切り替えることを優先し、その上で必要に応じた添加剤の導入を検討するのが良いでしょう。
まとめと今後の展望
今回の記事では、ガソリンエンジンとハイブリッドエンジンの違いに注目しながら、エンジンに優しいオイル交換のポイントをいくつかご紹介しました。改めてまとめると、以下の点が重要です。
- 規格の理解と適合性の確認
エンジンオイルにはAPI、ACEA、ILSACなどの各種規格が存在し、これらはエンジンの保護性能や環境対応、耐摩耗性を左右する大切な指標となります。自分の車のメーカー推奨仕様を確認し、規格に合致したオイルを使用することが基本です。 - ガゾリンエンジンとハイブリッドエンジンの違い
ガゾリンエンジンでは高温・高回転に対応するためのフルシンセティックオイルが多く用いられ、ハイブリッドエンジンでは低温での始動性や頻繁なオンオフに対応した低粘度オイルが推奨されるといった特徴があります。それぞれのエンジン特性に合わせたオイル選びが、エンジン寿命の延長に直結します。 - 高走行距離(6万キロ以上)のエンジンにはハイマイレージオイルも選択肢のうちの一つ
走行距離が増えると、エンジン内部の摩耗やシール劣化が進むため、専用のハイマイレージオイルを選ぶことで、漏れ防止や摩耗低減、内部洗浄効果が期待できます。特に、粘度の調整や添加剤のバランスが重要となるため、エンジンの状態を見極めた上でのオイル選びが求められます。 - 添加剤の利用は慎重に
添加剤は一見魅力的なソリューションに思えますが、すでにオイルに最適な添加剤が組み込まれている場合が多いこと、そして過剰使用によるトラブルリスクを考えると、必要性を見極めることが大切です。特に、高品質なハイマイレージオイルを使用している場合は、無理に添加剤を追加する必要はないと考えられます。
車というのは、機械としての生命力をいかに維持するかが重要です。エンジンオイル交換は、その中でも最も基本的でありながら、正しく行えばエンジン寿命を大きく延ばすメンテナンス作業です。自分の走行状況やエンジンの特性をしっかりと理解し、メーカーの推奨を守ること、そして必要に応じたオイルの見直しや添加剤の検討を行うことで、長く快適なカーライフを楽しむことができるでしょう。
これからも、BrummBooo Driving Societyでは、車好きならではの視点で様々なメンテナンス情報や、エンジンに関する知識をシェアしていきます。皆さんもぜひ、日々のオイル交換や車のケアに一層の注意を払い、いつまでもエンジンを元気に保ってください。エンジンはただの機械ではなく、あなたのドライブを支える大切なパートナーですからね。
最後に、この記事が皆さんのオイル選びやメンテナンスの参考になれば幸いです。エンジンに優しいオイル交換を実践して、これからも安全で快適なドライブライフを送りましょう!それでは、また次回の記事でお会いできるのを楽しみにしています。